36:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:18:46.52 ID:+EtVRVLso
〜
*
櫻子とどこか遠くに出かけるのはどれくらいぶりだろう。
早朝から出発して電車に揺られ、外の景色もだんだんと都会に近づいてきた気がする。
読んでいた本から目を外し、隣に座る櫻子を横目で見た。
櫻子「…………」
今日はあまりにも大人しいので、早起きがたたって寝ているのかと思ったが……ここまで一回も寝ていない。
目はきちんとあけたまま、ぼんやりと外をながめている。
向日葵(……何か、あったかしら)
今回の旅は櫻子の方から誘ってきたくせに、どうにも一抹の不安のようなものを抱えているような気がした。
この子は普段が普段なだけに、大人しくしている方が不自然だ。
向日葵「……櫻子」
櫻子「…………」
向日葵「ねえ」つんつん
櫻子「ん……何?」
向日葵「……どこで降りるんでしたっけ、駅」
櫻子「えっとね……あれ、今どこだっけ?」
向日葵「…………」
ずっと外を眺めていたと思っていたのに、櫻子は窓の外に注意をこらしてここがどこなのかを確かめようとした。
同時に車内アナウンスで次の到着駅が知らされ、携帯電話で表示した時刻表と照らし合わせて確認する。
櫻子「ああ、えーと……あと5駅だね。もうすぐ乗り換えなきゃ」
向日葵「…………」じっ
櫻子「……な、なに?」
向日葵「……こっちのセリフですわよ。今日はずっと何を悩んでるんですの?」
櫻子「な、悩んでないよ!? 何も!」ぶんぶん
向日葵「ほんと嘘が下手ですわね……」
櫻子「うぅ……」
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