11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 01:28:56.00 ID:+EtVRVLso
安心感がじわじわと湧きあがってきて、昨晩まったく休めなかった頭が今になってとろけてきた。ほどよい暑さもあいまって、まどろみに包まれる。私は視界の端に櫻子を入れながら目を閉じた。
問題を解説する西垣先生の声が遠のく。まったりとした時間の流れを全身で感じる。その一秒一秒が心地よかった。
こうやって時間をすごせば、授業はすぐに終わる。学校もすぐに終わる。今日が終わって明日になる。明日の学校が終わったら、櫻子が私のところに来る。どんなことを話すのだろう。どんな顔で聞いてあげればいいのだろう。今はまだ何もわからない。でも何を言われたって、私たちはきっと前に進むことになる。歩みを揃えて、一緒に一歩ずつ未来へと踏み出していく。目の前には、大きな大きな夏休みが控えている。
そうか。今年の夏は……あの子とずっと……
西垣「……ってなわけで、ここの答えはどうなるかわかるな? 古谷」
向日葵「…………」
西垣「……おや、珍しいな。まさか古谷まで、もう休み気分なのか?」
あかり「向日葵ちゃん、呼ばれてる呼ばれてる……!」ゆさゆさ
向日葵「ひあぁっ、は、はい!」びくっ
西垣「さあ、ここの答えは」
向日葵「え……わかりません」
西垣「おいおい、適当言うな。確か古谷はこの問題を正解した数少ない生徒のうちの一人だったはずだが?」
向日葵(う……)
西垣「たとえ答えがわかっていたって、寝てていいわけじゃない。授業なんだからきちんと聞くように」
向日葵「す、すみません……///」
幸せな時間から現実へと引き戻され、とんでもない赤っ恥をかいてしまった。ちらっと櫻子の方を見ると、なぜかいたずらっぽい笑みを浮かべていた。
私を寝不足にさせた張本人のくせに。まぎわらしいメッセージを送るんじゃありません。私の涙を返しなさい。
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