36: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/08/29(火) 15:52:50.06 ID:a/BNsWng0
「も、もりくぼの影はいったいどこに……?」
今のところ、私についてる影は持ち主不明、乃々ちゃんとまゆちゃんには影がない。
影が2つ足りてない。入れ替わるならともかく、ないというのはどういうことだろう? どこかに影を2つか3つつけてる人がいるのかな?
「まゆちゃんと合流しようか、いま事務所にいる?」
「いえ、今日はオフみたいですけど……呼びますか?」
「あ、だったらまだいいかな。影がないのはわかったんだし、まゆちゃんの影みつけてからでいいでしょ。昨日乃々ちゃんの他に誰と会ってるか訊いてくれる?」
「はい……あ、返ってきました」
「どうだって?」
「えっと、事務所に来る前に外で、歌鈴さんと会ったらしいですけど」
「歌鈴ちゃんか、連絡先わかる?」
「……ごめんなさい、わからないです」
私も歌鈴ちゃんの連絡先は知らないから、さっきのメールも送れていない。
さて、誰か知ってそうな人は――
「おっ、杏ちゃんにぼののじゃん」
ちょうどいいところに、歩く電話帳がやってきた。
「未央、歌鈴ちゃんに連絡とれる?」
「とれるよー、さっきのメールの話?」
「うん、杏が送ったのそのまま伝えてくれればいいから」
「ほいほい、ちょっと待ってね」
未央はスマートホンを何度かぽちぽちといじくって耳に当てた。
「あ、かりりん? ちょっと影を見てくれる? そうそう、自分の影」
「びっくりして転ばないようにって付け加えて」
「もう遅いかな」
「……おだいじにって言っといて。あと、その影、杏か乃々ちゃんかまゆちゃんのじゃないか訊いてくれる?」
しばしの間、未央は電話で歌鈴ちゃんについている影の動作や輪郭について話し合っていた。未央側の声しか聞こえないけど、どうやら私の影ではなさそうだ。
「たぶんまゆちゃんみたい」
と未央は言った。
歌鈴ちゃんは今日はオフで、女子寮にいるらしい。すぐそこだ。
乃々ちゃんからまゆちゃんに連絡を取って現在位置を教えてもらう。今はカフェでお茶をしばいているらしい。店名で検索してみると、そこもそう遠くない、歩いて行ける距離だった。
「も、もりくぼはどうしましょう?」
「乃々ちゃんの影はまだ行方がわからないから、事務所のどっかで待機してていいよ。みつけたら連絡するね」
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