322: ◆/tT5hkyI4g[saga]
2017/10/04(水) 22:04:26.65 ID:Q2Ts9Z3PO
動画はここで終わった。
「え?間違いって……そういうやつ……?そんなの、小さなもんd」
言おうとして、すぐにその口を塞いだ。ナイフがあったら今すぐこの口を切り落としてやりたい。
「まさか、俺は、俺は……」
昨日の俺は、それ以前の俺は。気付く。気付くさ。あれだけやれば流石に。あれだけやってようやく。
「あ、ぁああ……」
体の震えが止まらない。吐きそうだ。
昨日の記憶を反芻させる。俺は彼女たちに何をしていた?彼女たちにはこれが向いていると思い込んで新しいことを何もさせてこなかったんじゃないか?
ぷらん、と脱力した腕に力が戻ってこない。たぶん疲弊とは違うものだろう。
俺は昨日、間違いを間違いと気付けていない裏で、アイドルたちの意志・本質を理解し切れず、正しくない方向に導いていた。
いや、恐らく俺の方は昨日より前からずっと間違いを続けていたのだろう。
挙げ句の果てにはそれらを棚に上げ、間違いの存在すらわからなかったにも関わらず文句を吐こうとしたなんて、虫の良すぎる話は存在しない。
思えばこの間違い探しは俺にとってラストチャンスだった。これをきっかけに自分の思い込みを改めることが出来れば……もう少し未来は変わった……のかも知れない。
後悔先に立たずとはよく言ったもので、悔いて悔いて悔い終わった頃にはもう全てが終わってしまっていた。俺が今更何をしようが、彼女たちが進めていなかった時は今更巻き戻しようがない。
「……本当の間違いは俺だった……」
微塵もかっこよくない台詞を吐き捨てる。気付けば俺の足はとある場所を目指して力なく歩きだしていた。
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