292: ◆lT1JsxjocTLP[saga]
2017/10/01(日) 03:28:53.94 ID:iKH7pqC/0
「おおっ!?」
パイセンが素っ頓狂な声をあげたのもつかの間、私は瓶のふたを開けて、そのまま一気に飲み干した。
味を思い出そうとする前に、眩暈がきた。
経験したことの無いような、まるで大型地震に巻き込まれたように、天と地があやふやになる。
今どこにいるのか分からなっていく。
「あっ!」
パイセンの声と身体への衝撃で、自分が倒れたのだと分かる。床の冷たさに体温まで奪われていく。
視界のほとんどが闇に包まれていく。
そして、私の身体に頼りない糸でぶら下がっていた意識も、ぷつんと、容易く切れて消えていく。
何故だろう。もしかしたら、私の寿命は残り一年未満だったのかもしれない。
それなら、馬鹿なことをしてしまった。
いや、これでいいのかもしれない。楽をして美を得ようとした罰なのだろう。
パイセンは、努力と最善を尽くした上で、どうしようもなくなった時の最終手段としてしか服用していなかった。
やっぱ、パイセンには敵わないな……。
「……なさい」
もっと、努力すれ良かったかなぁ。私なりにしていたと思っていたけれど。
「……きなさい」
ああ、次もし生まれ変わったら、もっとスイーティーなアイドル目指して、がんば……。
「起きなさい、心!!!」
顔面に容赦ない衝撃が刺さる。ぼやけた視界に、新聞か雑誌を丸めたものが映る。
「あれ……?」
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