291: ◆lT1JsxjocTLP[saga]
2017/10/01(日) 03:26:18.87 ID:iKH7pqC/0
「早苗さんとかと遅くまで飲んじゃって、どうしても肌荒れが治まらなかった時に、栄養ドリンクと間違っちゃって……」
「大丈夫だったんですか?」
縛った髪をぴょこっと揺らして彼女は頷く。
「それはそれは凄い効果でした。身体全体で若返りを感じるんです。こう、キュピ―ン!って感じで、さながらメルヘンチェンジしたかのように……」
「あーわかったわかりました」
効果は絶大らしい。真に迫る表情からそれが伝わってくる。
興奮してぴょんぴょん跳ねるウサギを宥めながら、段々湧き上がる怪しい液体への興味を、温い手汗とともに感じていた。
「その顔は信じてませんね!肌がほんとに一年分若返るんです!ダンスだって、一年前に踊ることの出来た時間まで踊り続けられたんです!」
「え、ずっと体力持つのは一時間じゃないんすか?」
「実は年々少なくなってるんです。今年は去年より29秒縮まりました……」
マラソン選手かよ。そう言いかけたが、本気でしょんぼりしているパイセンにそんな軽口は、ノースィーティーだ。
しかし、ウサミン星人の実態もさることながら、効果らしきものはありそうだ。
最近階段を急いで駆け上がったら動悸が激しくなってしまった私にとって、充分魅力的な特効薬だった。
「本当に寿命が縮まるのは怖いですから、結局二本しか飲んでいないんですが、本当に困っているなら一本どうですか?」
そう言ってパイセンが小瓶を渡す。
少しためらったが、私の手に再び謎の薬が戻ってきた。
数々のアンチエイジングを試してはやめてきた私にとって、またとないチャンスかもしれない。
この液体が、私の救世主となるか、はたまた死神となるか。
この選択は、賭けだ。それなら……。
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