289: ◆lT1JsxjocTLP[saga]
2017/10/01(日) 03:22:06.70 ID:iKH7pqC/0
パイセンの目は、人を騙そうとする意地悪な目じゃない。しかし、こんな荒唐無稽なことを信じるというのも、いくらパイセンが相手とはいえ。
……まさか、パイセンも騙されている?
最近は水素水やら怪しい物が流行っているから、ただの栄養ドリンクを高値で買わされていてもおかしくない。
パイセン、こんな詐欺に騙されるくらいキャラを維持するために悩んでいたんだ。
私が目を覚まさせてあげないと……。
「あっ、別に騙されているわけじゃありませんよ!」
心の内を見透かされたようで、びくっと肩が上がる。
「べ、別にパイセンを疑っているわけじゃ……」
「目が、とても心配そうだったので」
気持ちは分かりますよ、と私の懸念までカバーされてしまうといよいよ立つ瀬がなくなる。
「菜々も、初めは疑いましたよ。ある日突然、家のドアを開けたすぐそこに小箱が置いてあって、その中にこれがいくつか入ってて、そんなの怪しいですしすごくびっくりしましたし」
「えっ、じゃあこれ差出人分からないんすか!?」
つい大きな声が出てしまい、慌てながらパイセンがしーっ、しーっと口の前に人差し指を立てる。
しかし、アイドルにとって住所が特定されるということは非常事態だ。
そのことくらい、パイセンも分かってるはずだけど……。
「箱の中に書き置きみたいなのはありましたけど、そこにも何も……」
「書き置き?なんて書いてあったんですか?」
そう言われてパイセンはもう一度ポーチの中を漁る。
少し経って、しわのついた紙きれを取り出した。見る限りは変哲のない紙だ。
「えーと……『年齢を保ち続ける貴方の一助になりますように』って初めに書いてあって、それからはこの液体の説明ばっかりですね、やっぱり」
私は考え込む。文面的に、やはり送った人物はパイセンの知識をある程度知った上でこの得体のしれない小瓶セットを送っている。
ストーキング目的にしては、やや行動がずれているが。
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