167:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 21:43:51.44 ID:QOYRkH000
「あれ……これって、もしかして……」
バッグからスケジュール帳を取り出したら、ホワイトボードと交互に眺めて照らし合わせてみる。
168:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 21:45:06.29 ID:QOYRkH000
「小梅さん? なにかわかったんですか?」
でも、これってつまり。
169:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 21:48:45.27 ID:QOYRkH000
幸子ちゃんと輝子ちゃんにこれ以上心配されないように普段通りのふりをしながら、寮まで帰ってきた。
こんなときに演技のレッスンが役に立つなんて思わなかったなぁ。
部屋に戻ったら、必要なものを準備するために棚を漁る。
たしかここに仕舞ってる筈なんだけど。
170:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 21:55:53.89 ID:QOYRkH000
「あった……」
専用の真っ黒なバッグは、棚の奥の暗闇に融け込んでいた。
薄らかかった埃をはたいて開けてみると、中身はほぼ未使用のビデオカメラ。
171:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 21:58:01.58 ID:QOYRkH000
充電を終えたバッテリーをビデオカメラに入れ直して動作確認をする。
うん、壊れたりはしてないみたい。
机の上に本を何冊か置いて高さや角度を調節したら、ビデオカメラをセットする。
画面を覗きながら、ベッドが映るように微調整。撮影モードをナイトモードに設定すれば、準備完了。
寝る直前に録画をすれば、夜明け前くらいまではバッテリーも持つ……と思う。
172:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 22:00:40.05 ID:QOYRkH000
………
……
…
アラームの音が私の意識を無理やりに覚醒させる。
173:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 22:03:48.59 ID:QOYRkH000
ハッとして早送りを通常再生に戻す。
煙のような、霧のような、輪郭なんてまるでない白いカタマリ。
まるで、私を見下ろしているかのように。
そうして、しばらく漂っていたモヤが拡がったかと思うと……私の体に、纏わりつく。
174:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 22:05:24.20 ID:QOYRkH000
私も電池が切れたみたいに体が動かなくて、立ち尽くす。
ドッペルゲンガーはやっぱり私だった。体は私だけど、意志は私じゃないもの。
そして、私に憑りついたあの白く写ったモヤのようなものの正体。
普段は写らないよう気を付けてくれているのに、憑りつこうとした為に写ってしまっていたのは――
175:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 22:09:52.66 ID:QOYRkH000
声が聞こえる。頭の中に直接語り掛けられたような、内側から響く声。聞き覚えのある声。
聞き間違えるわけない。いつも一緒にいて、お話ししてる……あの子の声。
でも、どうして……。
176:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 22:12:05.50 ID:QOYRkH000
『……怒らないの?』
知らない間に体を使われてるのはびっくりしたけど……。
でも、いつも近くにいて私のこと見てたから、羨ましくなっちゃったのかなって……多分、逆だったら私もそう思うかもしれないし。
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