175:名無しNIPPER[saga]
2017/09/14(木) 22:09:52.66 ID:QOYRkH000
声が聞こえる。頭の中に直接語り掛けられたような、内側から響く声。聞き覚えのある声。
聞き間違えるわけない。いつも一緒にいて、お話ししてる……あの子の声。
でも、どうして……。
『羨ましくなっちゃったから、かな?』
口に出していないのに、まるで質問に答えるようにその声がまた聞こえる。
もしかして……思ってることも、全部伝わってる?
『うん、そうだよ。まだ小梅ちゃんの中にいるから。最初はね、寝てる間にちょっと体を借りてお散歩したり、それだけで良かったんだけど……何回かしたらコツも掴んで、それで欲が出ちゃった』
コツ……ってなに? それに欲って?
『小梅ちゃんが体を動かさないで何かに集中してるときは、気付かれないで入れるようにもなったんだ。だから、お日様の光を生身で感じたり、美味しい物を食べたりしたくなって』
最近DVDを観てたのに内容を思い出せなかったり、歌詞や台本が中々覚えられないのは、こういうことだったんだ。
時間を忘れるほど観たり読み込んだ気がしていただけで、実際は観ても読み込んでもいなかった。
その間、私の体はあの子が使っていたんだ。
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