104:名無しNIPPER[saga]
2017/09/01(金) 00:40:27.86 ID:gRyzT9wx0
〜〜〜〜〜
――大変長らくお待たせいたしました。ただ今より開演となります。
予定の時間を過ぎても始まらないことに観客が疑問を抱き、そろそろ苦情の1つでも飛んでこようかというタイミングで、放送が響いた。
ステージの上には人影が1つ。
カッ! という音と同時に、スポットライトがその人影に注がれる。
そこには。
「みなさんっ、こんにちは! 安斎都です! あっ間違ってないですからね! これはちゃーんと、頼子さんのイベントですからっ!」
唖然とする観客達。
無理もない。待てども始まらないイベントが開演したと思えば、ステージ上には何かと話題の探偵アイドル。
まさか、頼子の身になにか……? トラブルが起きたのか……?
そんな空気を感じ取ったのか、都は続ける。
「心配いりませんよ。頼子さんは舞台袖で、今か今かとスタンバイしています!」
安堵する観客の顔が見える。
「むむっ! "じゃあなんでお前はいるんだ!"と思った方がいますねっ! 説明しましょう!」
「実は先ほど、"落し物"をしている人を見かけたんです。"顔はわかっている"のですが、いかんせんこの人数から探すのは至難の業……!」
「そこで、こうして呼びかけることで"自首"してほしいんです!」
わざと事件めかした言い方をしていると思ったのだろう。観客から笑い声が聞こえた。
……もちろん、特定の人物に向けたものであるのだが。
「ああ、警備員さんに特徴は伝えてありますので、逃げられませんよ〜?」
「まあ私も鬼ではありません。自首してくれれば罪は軽くなりますからね!」
またも笑い声。
「私からは以上です! さてさてみなさんお待ちかね、頼子さんの時間ですよ! 安斎都でした!」
笑顔で深々と頭を下げた都は、闇に消えていった。
344Res/309.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20