101:名無しNIPPER[saga]
2017/09/01(金) 00:37:22.59 ID:gRyzT9wx0
俯いた都が、か細い声で言葉を続ける。
「みなさんが、私に期待してくれています。それが、その期待を裏切るのが、とても怖いんです」
「何度も、何度も打ち明けようと思いました。"実は全部ウソだ"って。"私はみんなに期待してもらえるような人間じゃないんです"って!」
「でも言えなかった……! 私は卑怯者です。自分で手に入れていない栄光を、さも自分のものであるかのように振り回した。とんでもない卑怯者なんです」
「だから、これは報いなんです。もし私が目を覚まさなくても、それは仕方のないことなんです」
「ちょうどこの薬がラストです。見ていてください、頼子さん。探偵安斎都、最期の――」
パシィ!!!!!
「……」
「痛い……ですよ」
「……」
「どうして、頼子さんが泣いているんですか」
「どこへ……行ってしまったんですか?」
「……どういう」
「あの頃の都ちゃんは、どこへ行ってしまったんですか」
「……私は私です」
「困ってる人がいたらすぐに駆けつけて『任せてください!』って大きな声をかけていた都ちゃんは……」
「……」
「謎を解くために、どんな小さな手がかりも見逃さないために、服が汚れるのも厭わず、皆の為と奔走していた都ちゃんは……!」
「……」
「私が大好きだった都ちゃんはどこへ行ってしまったんですか!」
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