【デレマス時代劇】一ノ瀬志希「しあわせの白い粉」
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18:名無しNIPPER[sage]
2017/08/19(土) 08:17:08.93 ID:GVuX5Nn80
「動機としては十分ですかねえ」

都が呟いた。

自身から全てを奪った藩への復讐。

阿芙蓉をばらまくには、最もな動機である。

「まさに“非人”の振る舞いですよ」

気さくな笑みを浮かべる部下に、早苗は言葉がなかった。

都はきわめて優秀であるが、同心として、ひいて人として欠落しているところがある。

とはいえ、その柔軟な発想が事件を解決することもあるのだろう。

同意することも咎めることもできず、早苗は番所から出た。

いたたまれなくなった。

自らの意志の赴くままに同心をやってきたが、果たして、

それは本当に正しかったのかという気がしてくきた。

正義感や意気込みがなくとも、都のような人間は着々と足場を固めている。

集落での“駄賃”のことにしても、あれで領民が救われるのなら、結構なことではないか。

悶々としながら早足で歩いていると、早苗は人にぶつかった。

相手は腕いっぱいに菓子を抱えていて、それがばらばらと地面に落ちた。

「あっ……」

早苗は詫びる前に、相手の顔を見て驚愕した。

「一ノ瀬志希!!」

「はいはい、志希ちゃんですよ〜っと…」

落ちた菓子を拾いながら、志希は返事をした。

早苗は、散らばっている練り菓子を奪い取って、志希に突きつけた。

「アンタのせいで、何人の子ども達の明日が奪われたと思っているの…!?」

「いやだにゃあ、“それは”正真正銘のお菓子だよ〜?
 
 私の町の子ども用のね。

 なんなら、食べて確かめてみてもいいよ」

早苗は苛立って、練り菓子を地面に叩きつけた。

「物騒だにゃあ〜」

粉々になった菓子を見つめながら、志希が言う。

その様子に早苗はますます腹を立てたが、これ以上は何もすることができず、

相手に背を向けて去った。


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