「藤原肇がそれを割る日」
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6:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:20:41.42 ID:pXJ6Ifkk0
 お会計を済ませ、湯呑みを渡したところで、充電していた彼女の携帯が鳴りました。

 はぐれた友人の方は、近くの広場にいるそうです。


「……ユミさん、とおっしゃるのですね」
「えっ?」

 盗み聞きをするつもりは無かったのですが、電話口からしきりに彼女の名を呼ぶご友人の声は、とても大きいものでした。

「うん! 私、相葉夕美。神奈川から来たんだ。あなたは?」
「私?」
「そう、名前。こんなに良くしてもらえたから、せめて名前だけでも知りたいなぁって」

 そう言った後、夕美さんは慌てて手を振りました。

「あっ、いや! ごめんなさい、もちろん嫌ならいいんです。プライバシーとか、色々あるもんね」
「いえ」

 名乗るほどの者ではありません、と答えようかとも思いました。でも――。


「肇、と言います。藤原肇」



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