「藤原肇がそれを割る日」
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44:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:18:53.41 ID:pXJ6Ifkk0
 家に帰り、その日のうちに、実家のおじいちゃんに連絡を取ります。

「窯焚きの日だと?」


 通常の体験教室で用いる電気釜なら、特に時期を選ばずに焼くことができます。

 しかし、登り窯や穴窯と呼ばれるような、昔ながらの本格的な窯で焼き上げるとなると、大仕事です。

 岡山に窯元はいくつかありますが、窯焚きを行う時期は年に2回。春と秋のみです。

 春だと、例年なら3月下旬から4月初旬に行われるので、うまくいけばピッタリ――。


「イムラさんとこに頼めば、おそらくは3月末までに窯詰めをして焚くだろう」

 やった! 思わず拳を握りしめます。

 おじいちゃんの言った窯元なら、窯焚きにかける期間は10日間、その後焼き物を冷ます期間に5日間かけます。


 そうです――うまくいけば、窯出しの時期が、ちょうど夕美さんの誕生日と重なります。

 こんなに良くできた話があるでしょうか。



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