「藤原肇がそれを割る日」
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43:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 21:15:23.06 ID:pXJ6Ifkk0
「では、どうしてあの日は、湯呑みを?」

「高かったから……っていうのはウソだけど」

 えへへ、と照れながら彼女は――。


「肇ちゃんの作ったものを、その時は買いたいって、思っちゃったんだよね。
 もちろん、肇ちゃんが作った植木鉢があれば、それが良かったのかも知れないけど」


「そうだったんですか」
「あぁ、ううん! 別に義理立てしようとか、そういう気持ちじゃなかったの。本当だよ?
 単純に、肇ちゃんに興味を持って、というか、その……」

 顔を赤くさせながらモジモジと取り繕う夕美さんが、何だか可愛らしいです。

 それに――。


「ふふっ……大丈夫です。ありがとうございます、夕美さん」

 義理ではなく、いつも素直な気持ちで私に接してくれているのは、初めて会ったあの日から、分かり切っていることです。


 やはり、ちゃんとした形で、私はこの人に、感謝の気持ちを伝えなくてはと思いました。



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