「藤原肇がそれを割る日」
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4:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:16:01.49 ID:pXJ6Ifkk0
「あ、あのっ!」
「?」

「ひょっとして……び、備前焼、だったりしますか?」

 近所のお総菜屋さんへ買い物に出ていた私を、女の人が呼び止めました。

 恐る恐る、私の着ている作務衣を指さします。


 あぁ、これ――確かに、土だらけです。

 お総菜のおばちゃんは、いつものことなので気にされないのですが、お世辞にも他所行きの格好ではありません。

「はい」

 ですが、恥じることでもありません。岡山が誇る、日本一の陶芸品に携わる者という自負があります。

 それに興味を持ってくださった他県の方にも、その良さを知ってもらわなくては。

 なぜこんな山奥まで来られたのかは分かりませんが、道にも迷っているご様子です。

「よろしければ、すぐそこに私の家の工房がありますので、ご覧になりませんか?」

 お誘いしてみると、その人は「ぜひっ!」と元気に応えてくれました。



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