「藤原肇がそれを割る日」
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3:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:13:23.74 ID:pXJ6Ifkk0
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 小さい頃は、工房があまり好きではありませんでした。

 おじいちゃんが、気に入らない自分の作品を次々に割ってしまうのです。

 私は、何であんなに手間をかけて作ったものを自分で壊すのか、分かりませんでした。

 何より、おじいちゃんが壺やお皿を割る音はとても大きく、怖くて、よく泣いていました。


 初めて自分で作ったのは、6歳の時です。

 無理矢理座らされ、大声で泣きながら何度も手を払う私に、おじいちゃんも泣きたくなったそうです。

 ですが、焼きあがったそのお皿を手にした時――。

 私は、とても嬉しくて、両親だけでなく、仲の良い近所の友達にも見せて回りました。

 食事の時は、必ずそのお皿に取り分けてもらいましたし、終わったら自分の手で綺麗に洗わなくては気がすみません。

 洗剤を使いすぎて、洗い場を泡だらけにする私を見て、お母さんは呆れて笑いました。


 それをきっかけに、料理をはじめとした家事も手伝うようになったのを覚えています。

 もちろん、陶芸を好きになったのも。


 陶芸をきっかけに、夢中になれたものもあります。

 私の場合、それはちょっと奇妙で――でも、とても素敵な出会いでした。



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