女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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61:名無しNIPPER[sage]
2017/08/17(木) 22:46:43.24 ID:5vAlKS7V0

「前々から思ってたんだ。『星堕ち』前の人類の歴史では、大きかった国のいくつかは反乱が起きて、滅んでる。だいたいそれは官僚間での賄賂の横行、ボンコツ暴君の圧政、とかの政治体制の腐敗が原因で起こってるんだ。なのにこの都市にはその傾向が一切ない」

 聞けば聞くほど、納得させられる話だ。
 卓也は自分には能力がない、と言っていた。だがこうして彼の理論を聞いているとそうは思えない。多角的に物事を捕らえ、調査能力による不自然の発見ができる能力。その点でいえば、彼は断トツだ。卓也は、法に関することが、ただ向いていなかっただけなのかもしれない。

「卓也、すごいよ」
「え、そう?」

 努めてそっけないフリをしているように見える。

「こんなこと普通は思いつけないよ。少なくとも僕には無理だ」
「へへ……そうかな、ふふふ」

 卓也はレジスタンスのメンバーと比較的早く馴染んでいた。彼のこういった素直な態度が、そうさせているのかもしれない。

「すごいすごい」
「へへへ」

 なんだかな、と思う。もう少し、卓也は変わってしまうと思っていた。……僕らは人を[ピーーー]手段を、多少なりともだが、教わった。卓也は僕よりも上達が早かった。それは才能の差もあったかもしれない。僕が人よりもできなかったわけじゃない。だが怯えや躊躇、そういった覚悟の差が、あるような気がしてならないのだ。だが卓也は依然として卓也だ。人懐っこく、すぐに人の輪に溶け込み、敵を作らないタイプ。冷酷な人間に変わってしまうと思っていた。でもこうもアレだと……。

「卓也はさ……いや、なんでもない」
「……?」

 異常な空間にいるからこそ、というのもある。

「なあ裕樹さん」
「ん?」
「こっからが俺が言いたかったことというか、なんていうか」
「どうぞ」
「笑わないで聞いてくれる?」
「……それは聞いてみないとわからないけど」

 それでも彼は「笑わないでくれよ?」と僕に念を押した。

「俺が言っていた『矛盾』の話の続きなんだけど。これはなにかが裏で動いててるからだと思うんだ。俺たち一般市民どころか、政府の中でもほとんどの人が知らないよう何かが。陰謀論臭いけどさ」
「うん」
「俺の中で二つの仮説があるんだけどさ。一つは完璧な人工知能が人間を統治している。もう一つは……価値観の変わることのない不死身の人間が裏で政府を操ってる」

 なかなか、現実的にあり得なさそうな話だ。だが魔法、というものが存在している時点でそうとも言い切れないような気もする。昔の人類は火をおこすことさえできなかった。電気をつかってものを動かす、なんてことを考え付く土台すら持っていなかった。



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