女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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58:名無しNIPPER[sage]
2017/08/17(木) 22:44:42.13 ID:5vAlKS7V0
この一か月、僕はありとあらゆることを仕込まれた。照には知識を。羅門には力を。比重は知識のほうが多かった。つまりはそちら側に僕は期待されているらしい。

 彼女はいつ犠牲になるのか。焦る気持ちはあった。だが無闇に動いて解決するほど現実は甘くはない。

 犠牲執行の日にちは、ある程度なら想定可能だ。ようは僕が犠牲の取り組みを決めるとすればどうするか、それを考えればいい。
 犠牲が都市の命運を握る以上、マージンはとるはずだ。仮に一日の間で犠牲が引継がれるとしよう。それで、もし手違いやミスで失敗が起きたらどうなる?

 ――何人もの人が死ぬ。

 絶対に失敗は許されない、重い、重い責任だ。だから日にちは余裕をとる。おそらく、早くて三か月、遅くて一年以上。……だいたい六か月というのが妥当な気がする。目標は彼女がいなくなった日から三か月――今からで言えば、二か月以内に何とか助け出す、といったところか。ここまでの推測に、断固たる根拠はない。ただ、この程度の期間は最低限必要だからここまでに救出しよう、と思っているだけだ。

 選ばされているな、なんてことを思う。あまりいいことではない。本来なら、できる限り早く彼女を助けなければならない。でもそれは、現実的に無理だからそうなった。消去法的選択。これしか取れる手段がないから、こうするしかない。

 僕はパラパラと本のページをめくる。ここには一般開放されている図書館にはないものが、たくさんあった。思うに、政府が一般人に必要のないと定めたものは公開されていなかったということだろう。
 確かに情報の統制はある程度必要だ、と僕は考える。規制しすぎるのは、一般市民の権利を無視しすぎることになるから、やってはならないことだ。だが都市壊滅の可能性を誘発するものは……多少、権利を侵害してでも統制したほうがいい。
 例えば『犠牲』に関する本。この本には次のようなことが書かれている。

 犠牲の装置『メギナラムシステム』について。
 犠牲の装置は対象者の魂の容量と比例し、奇跡の業を起こす。十のエネルギーを持つものを犠牲にし、都市を守れる時間を百とする。そしてこの場合、百のエネルギーを持つものを犠牲にすると五千の期間守れることが、わかっている。このことから犠牲者は、より高い魂容量を持つものを選ぶことが、少しでも失われる命を軽減する助けになる。また、魂容量は魔翌力容量と比例していることが多く…………

 そんなことが書かれていた。そして問題なのはこの後だ。

 仮説ではあるが犠牲者はその身体を装置に収めた後、魂としての意識は生き続けているのではないか、というのがある。もしそうであれば、犠牲者はさらなる苦しみを過ごしているのかもしれない。また、この仮説が正しければある意味人間の寿命の数倍を過ごすことが…………



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