208:名無しNIPPER
2017/09/21(木) 13:35:32.45 ID:yoGsi3kr0
「司令、来たんですね。北上さんを止めてください」
「……北上との約束なんだろ?」
「……」
「そだよ。五月雨ちゃんと約束してたのに、私が来たら入らせてくれないの。入ろうとしたら、めっちゃどなってきて、しかも突き倒された」
妹は不機嫌そうに言うと、立ち上がり浴衣の埃を払う。
「だって、あんな約束、北上さんが一方的にしてきただけじゃないっ!!」
「そんなことないし。私は五月雨ちゃんがオーケーしてくれたの覚えてるもん」
喧嘩は平行線をたどる。
「五月雨、どうして北上をいれたくない?」
私が横から五月雨に尋ねる。その質問に五月雨は膨れた顔で私を睨み返す。
「だめなのはだめだからです!!」
「何がだめなのかい?」
「…………」
沈黙する五月雨に私は近づき、正面に立つ。
「……五月雨、僕たちはさ、一緒に生活する家族なんだよ。僕だって北上だって五月雨には自分の部屋みせているし、夕飯の時に言ったように隠し事はしてない。だからさ、五月雨も恥ずかしがらなくていいんだよ。それに北上はすごく楽しみにしていたんだ。約束というのもあるけど、五月雨にはそれを理解してほしい」
私は五月雨に視線を据えてそう言葉を紡いだ。
目の前の彼女は、口を固く閉ざしてそれを聞いていたが、やがて、嘆くようにため息を吐いた。
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