192:名無しNIPPER
2017/09/21(木) 13:18:34.50 ID:yoGsi3kr0
「……司令官? 起きてよ、着いたよ。司令官、ほら!」
妹が私の肩を揺すって私を起こす。ああ、私、寝ていたのか。
「お、おはよう、もう着いたのか」
「そうだよ、いくよー」
北上の手を支えに私は起き上がって、伸びをする。となりの谷風は依然としてぐうぐういびきをかいて寝ていた。
ちらりと腹を出しているのが、谷風らしい。そんな谷風のそばに妹が寄って、腰をおろした。
「谷風ちゃん、今日はありがと。じゃあ、また会おうね」
妹は谷風の寝顔を撫でながら、彼女の耳元でささやく。谷風は寝ながら幸せそうな顔を妹に向ける。妹は、静かに谷風の頬にキスをすると、「大好き」と呟いたのであった。
それから私たちは船をあとにした。桟橋に降り立つと、明石中佐が待っていた。
「おかえりなさい。あ、北上、昇進できたんだねぇ。おめでとう」
中佐は妹の胸の階級章を見て、小さく手をたたきながら、出迎えてくれた。
「はい、明石さんのおかげで、准尉になれたよ〜。ありがとう!」
「いえいえ、私はただの工作艦。やることをしただけだよ。そして、北上。今日から貴女は軽巡じゃなくて雷巡となるのよ」
そう言うと、明石中佐は厚みのある風呂敷を妹に渡した。
「明石さん、これはなに??」
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