191:名無しNIPPER
2017/09/21(木) 13:17:38.79 ID:yoGsi3kr0
それから私ら四人は遅めの昼食をとると、南中頃には五神島や宇和島に向かう帰りのクルーザーに乗り込んだ。
船に乗り込むと、疲れていたのか谷風と五月雨はすぐに寝てしまった。谷風はいびきをかいて、泥のように眠るほどであった。
一方で、妹は起きており、時折、船窓を眺めながら、スマホをいじっていた。
「北上は疲れてないのか?」
「そりゃあ疲れてるよ。でも、いまはやることあるしさ」
そういって、妹はふたたびスマホの画面を見つめる。
「そういえばさ、さっきの試験のときに、涼風と何喋ってたのかい?」
「あー、あのやりとり司令官にも見えてたんだ。……あれはね、涼風ちゃんが私の弱点見抜いてこっちに話しかけてきたんだよ〜」
「え、そうなのか?」
「そうだよー。びっくりしたよ。今日の試験で、私、一回も魚雷撃たなかったでしょ? あれ、実は魚雷発射管が故障してたからなの。それを涼風ちゃんが見抜いて、私に指摘しにきたんだよ。それじゃあアンフェアだから、涼風ちゃんが直し方教えてくれたの。まぁ、直している間に狙われるから、直しはしなかったけどね」
妹はそう私に言うが、私は半信半疑であった。
「本当にそうなのか?」
「本当にそうもなにも、そうだよ。そうじゃなかったらなんなのさ?」
「……」
どうやら、妹は涼風に五神島のことを訊かれた訳ではないようだ。だが、あきらかにあの涼風の行動には不可解な点が多かった。とりあえず、今日のことは柱島泊地の人事部に報告しなければ。
目の前の妹は、どうしたのとでも言う様な表情を私に向けると、顔を下ろした。そして、スマホをポチポチしながら、船内で時間をつぶすのであった。私は妹の姿をみながら、うとうと。ああ、ねむい…………。
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