166:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 20:44:29.90 ID:hojLDG6p0
「どうした?」
「あっ、司令っ!」
直後、五月雨は立ち上がり、私の右手を思い切り引っ張って走り出した。
「急にどうした!」
「とにかく走ってくださいっ!」
「なぜ!?」
「追われるからです!!」
意味が分からない。何に追われるのだ。
と、後ろの方で女の子がこちらに向かって叫んでいる声がした。
「姉さん! 姉さんなんでしょっ!?」
走りながら振り返ると、そこには五月雨によく似た艦娘が私たちをかなりのスピードで追いかけていた。
ああ、あれが白露型の涼風か。
「姉さんって呼んでるけど? もしかして五月雨の妹?」
「ぜんぜん違います! うちの妹は平群島だから、昇進試験あっても柱島に行くので、こっちには来ません!」
それから五月雨は、屋台が並ぶ通りの人混みのなかを私の手を引っ張ったまま疾風のごとく突っ込んでいった。
人と人の間を縫うように私らは走ったのだ。
「五月雨姉さんっ! 五月雨姉さんっ! 私だよ!」
後ろの方で呼ぶ声がしたが、五月雨は見向きもせず、屋台裏の陰に隠れた。
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