156:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 20:12:49.66 ID:hojLDG6p0
急に話題が変わり、北上がため息を吐く。
「そんなの私には分からないよ。それと許されちゃうのがなんか関係あるの?」
谷風は妹を睨む様に見つめながら、口を小さく開いた。
「……あたしが、足速いのはね、万引き常習犯だったからだよ。
家が貧しくてさ。困っちゃうよねー。仕方ないよねー。
盗んでは逃げてを繰り返してたら、部活やってないのにいつの間にか女子で県内三位の速さになっちゃった。
でも、高校に入る前についに捕まっちゃってさー」
私と五月雨もそれを後方で聞いていたが、その言葉の重みに圧倒されて、何の口出しもできなかった。
「そして、いそなみんは親が小作人で貧しくて、しかも部落差別を受けてるとこの出身なの。神威中尉も親がアイヌで似たような差別を受けてまともに収入がなくて貧しいのよ。
…………今ので分からない?」
谷風は妹から目を離すと、海に向かって唾を吐いた。
妹は谷風の話に何も言葉を返すことができなかった。
「つまりさ、あたしの基地ってみんな貧しいか犯罪者か社会のクズ共の集まりなんだよ。
そんな奴がセクハラ訴えても上官は見向きもしねえんだよ。
そもそもウチの司令官さまは、幹部からはあたしらみたいな社会のゴミを社会的勝者へと導いたり更生させたりする事で有名なんよ。
だからあそこでの方針はなんでも許されてしまうし、宇和島にくる艦娘は皆そう言う子が選ばれてくるわけなんだよ! 分かった?」
小柄な体格には似合わないドスを効かせた声で、谷風は妹にそう吐露する。
谷風を止めたいところだが、驚愕すぎて体が動かなかった。
「後ろの司令少佐さんとか五月雨中尉もご理解頂けたかな?」
私と五月雨は黙って頷く。
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