32: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:36:42.44 ID:W2SDnvMcO
志希はコーヒーをまた一口啜る。
「今は、っていうのは…」
「うん、アイドルになってから。何でだと思う?」
「……トクベツじゃ、無くなった?」
泉の答えは、志希の欲しかった正解だったようで、天才はさっきより少しだけ楽しそうに笑った。
「うん、私を不思議な眼で見る人がいたんだ。最初はそれが何か分からなかったんだけど、今思うとあれが『1人の女の子を見る眼』だったんだね」
「…それって、第1芸能課の…」
「うん、私の、プロデューサー」
手元を見ながらゆっくりと語る志希を見て、泉は少しだけ驚いた。
あの一ノ瀬志希が、いつもどこか深くで人を踏み入らせないような不敵な笑顔の彼女が、まるで年相応のただの女の子のように笑っていた。
「…それで、アイドルになったんですか?」
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