10:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 00:45:50.99 ID:wKOBUZhB0
――――
―――
――
二十年前、俺は小学校に入学した。初めてのランドセル、多くの同年代がいる学舎、真新しい教科書のインク臭、全てが俺をワクワクさせた。
11:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 00:47:15.58 ID:wKOBUZhB0
何度か繰り返し、席に戻ろうとすると、赤いランプがふっと消灯した。
「お父さん! ランプ消えたよ!」
聞くや否や父さんは扉の前へ素早く移動した。扉の奥から赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。程なくして扉が開かれ、中から医者が出てきた。
12:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 00:50:38.72 ID:wKOBUZhB0
しばらく日が経った後、母さんと美波との対面が許された。
「あら、いらっしゃい」
母さんは笑顔で迎えてくれた。妹は寝ており、静かに寝息を立てている。俺は父さんにシーっとジェスチャーを送ると、父さんも母さんもクスクスと笑っていた。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 00:54:37.36 ID:wKOBUZhB0
数日経ち、母さんと美波が退院して我が家にやってきた。今日から四人で生活するんだと思うとワクワクして変にテンションが上がる。
「お母さん、美波、おかえりなさい!」
その日から俺は暇さえあれば美波に構っていた。指を差し出すとぎゅっと握ってくれるのが本当に嬉しかった。早くお喋りしたいなと思ってとにかく喋り倒した。
14:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 00:59:24.43 ID:wKOBUZhB0
「とにかく来て来て!」
父さんと母さんを引っ張り美波のところまで誘導する。俺は美波に話しかけた。
「にーに」
15:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 01:00:24.56 ID:wKOBUZhB0
――
―――
――――
16:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 01:04:35.07 ID:wKOBUZhB0
「美波や湊の可愛い姿を納めた写真は全部データ化してるからな。毎年仕事納めにその年にイケてると思った写真を厳選してスマホに入れてるんだ」
「湊?」
「ああ、湊は末の弟ですよ。今は高校生ですね」
17:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 07:33:08.20 ID:wKOBUZhB0
――――
―――
――
「お兄ちゃん、まだかなまだかな?」
18:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 07:50:34.16 ID:wKOBUZhB0
そして、湊が産まれ家にやって来てからというのも美波はずっと湊に話しかけていた。
「湊君、私は美波。あなたのお姉ちゃんです」
この時は思わなかったが、思い返してみるとやはり兄妹なんだな。やってることが本当に同じだ。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 08:00:00.69 ID:wKOBUZhB0
ちなみに湊が初めて喋った言葉は「まんま」だった。母さんを前にしても、美波を前にしてもまんまというものだから少し美波は困惑していたのがまた可愛い。
「美波はお姉ちゃんですから、湊君に色々教えてあげます」
湊が喋るようになってから三ヶ月ほど経った頃。湊は少しずつ立とうとするようになってきた。美波は念願の散歩が出来るかもしれないということで一生懸命歩く練習に付き合っていた。
60Res/40.46 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20