モバP「美波も二十歳か」
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10:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 00:45:50.99 ID:wKOBUZhB0
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 二十年前、俺は小学校に入学した。初めてのランドセル、多くの同年代がいる学舎、真新しい教科書のインク臭、全てが俺をワクワクさせた。
 しかし、その年はそれ以上にワクワクした出来事があった。それは入学から丸四ヶ月経とうかという夏休みの出来事。

「……ねぇお父さん、まだ?」

「ん? ああまだだよ」

「そっか」

 病院の談話室で暇をもて余しながらも、今か今かと待ち続けていた。この時見た父さんは落ち着いており楽しみじゃないのかなって思ったけど、後々聞いた話では緊張していたが、俺にそんなカッコ悪い姿を見せるわけにはいかないと必死に踏ん張っていたそうだ。

 父さんは時折立ち上がり、母さんが入っていった部屋の前まで行く。俺もそれに倣いついていく。赤いランプが煌々と灯っていた。それを確認する度、父さんは席に戻ってくる。


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