33: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/07/25(火) 01:13:44.98 ID:Y4RZ/g0zO
嫌い、だから?
だったらどうすればいいのだろう、妥協して表面上は仲良く取り繕うか、互いに分かり合うまで徹底的にぶつかり合うか。
答えが得られず、泉は頭を抱えた。
「……天才って何だと思う?」
「…………分かんない」
「晶葉は天才だと思うか?」
「……それは、うん」
「…どうしてそう思う?」
「…………」
禅問答のようだ、と泉は思った。
このやり取りの先に何があるのか、プロデューサーは何を伝えたいのかがさっぱり分からず、泉は思わずソファから立ち上がった。
「今日はレッスンもない、帰ってゆっくり休むといい」
「……うん、ごめんね、P」
「こっちこそ意地の悪い言い方ばっかりして悪かったな」
適当に帰り支度を整え、泉は自分自身に振り回されるように第6芸能科事務所を出た。
「泉」
「…何?」
「悩み過ぎるなよ、笑顔の方がお前は可愛いぞ」
去り際のそのやり取りで、泉はほんの少しだけ気が楽になった気がした。
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