小日向美穂(27歳)「ねぇ聞いて、素敵な人生を歩んできたの」
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◆XUWJiU1Fxs
[sage]
2017/07/06(木) 00:30:13.83 ID:EEAT6ERxo
モバマスSSです。10年ご妄想的なあれです。
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◆XUWJiU1Fxs
[sage]
2017/07/06(木) 00:31:33.78 ID:EEAT6ERxo
『こ、来ないでくれ……俺はただ! 脅されていて……』
『そんな言い訳、聞き飽きた』
左手に持つナイフに力が入る。私は息を殺してただ目の前の男にそれを突き刺す。何度も何度もくり返し突き刺して。ナイフが刺さった胸からは赤い液体が流れ男は静かに倒れる。私は動かなくなったそれを足で蹴って、冷たい雨の中パトカーのサイレンをBGMにしてその場から去っていく――。
以下略
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◆XUWJiU1Fxs
[sage]
2017/07/06(木) 00:32:07.62 ID:EEAT6ERxo
「本当に殺されるかと思いましたよ……」
「あのっ、すみません! その、蹴っちゃって……」
台本に書かれていたこととは言え、相手は私よりも芸歴の長いベテランの俳優さん。そんな人を小道具のナイフで刺した挙句蹴ってしまうなんて、ドラマじゃなければ許されないことだ。いや、ドラマだとしても無礼を働いた申し訳なさがある。
以下略
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4
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◆XUWJiU1Fxs
[sage]
2017/07/06(木) 00:33:35.45 ID:EEAT6ERxo
あの頃の私は漠然と女優や声優のお仕事をしたい、と考えていた。プロデューサーさんも私の気持ちを汲み取ってくれたのか舞台や映画のお仕事を沢山とってきてくれて。
『日本アカデミー賞最優秀新人賞は……ドリーム・ステアウェイより、小日向美穂さん!』
『え、ええええ!?』
以下略
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5
:
◆XUWJiU1Fxs
[sage]
2017/07/06(木) 00:35:05.73 ID:EEAT6ERxo
「ただいまー……」
遅くまでの撮影が終わり、私はそのまま自宅へと帰る。大学に進学するに際してプロダクションの寮を出てマンションの一室を借りたまま、今もそこに住んでいる。1人暮らしには少し広いけど日当たりも良くて日向ぼっこが好きな私にとっては最高の場所だ。それに、この子がいるから私は寂しくない。
「プロデューサーくん、今日も疲れたよ」
以下略
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6
:
◆XUWJiU1Fxs
[sage]
2017/07/06(木) 00:36:15.88 ID:EEAT6ERxo
『美穂ちゃん夜遅くにごめんね!』
「ううん、気にしてないよ」
シャワーを浴びるのは一時間後くらいかな? と心の中でコッソリと笑ってみる。
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7
:
◆XUWJiU1Fxs
[sage]
2017/07/06(木) 00:37:34.38 ID:EEAT6ERxo
『もしもし? 美穂ちゃん? もしもーし?』
ベッドの上に落ちた携帯から卯月ちゃんの心配そうな声が聞こえます。
「ゴメン、携帯落としちゃって。ステージにって……アイドルとして、ってこと?」
以下略
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8
:
◆XUWJiU1Fxs
[sage]
2017/07/06(木) 00:38:03.33 ID:EEAT6ERxo
「響子ちゃんは……知っているよね」
『プロデューサーさんの奥さんだからね』
お嫁さんにしたいアイドルNo.1の座を5年間キープし続けた響子ちゃんだったけど、誰もが憧れた彼女の夫という肩書きは見事私たちのプロデューサーが勝ち取ったんです。5年経った今も新婚時代と以前変わることなく仲睦まじく、理想の夫婦って響子ちゃんたちのことを言うんでしょうね。2人の間に生まれた赤ちゃんは響子ちゃんに似て可愛らしく、将来アイドルになるのかなと3人で笑いあった事を思い出しました。思えば、響子ちゃんともそれ以降会えていません。私が昔住んでいた寮に行けば、アイドル達のお姉さん役として寮母さんをしている響子ちゃんに会えるのだけど、中々そんな時間も取れずにいたから。
以下略
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9
:
◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:38:50.74 ID:EEAT6ERxo
「へー、ピンクチェックスクール再結成かー。面白そうじゃん? 何が不満なの?」
翌日、私はテレビ局の近くのカフェで城ヶ崎美嘉ちゃんとお茶を飲んでいました。10年前、カリスマギャルとして活躍していた美嘉ちゃんでしたが、今は活躍の場を海の向こうまで伸ばして、世界中のティーンエイジャー達が憧れるモデルになっています。
「不満なわけはないよ? 寧ろ誘ってくれて嬉しいんだけど……」
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10
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:40:06.53 ID:EEAT6ERxo
「ホント言うと、アタシもまた美穂と一緒のステージで歌いたい。世界を股にかけるカリスマモデルと飛ぶ鳥を落とす勢いの女優のユニットとかヤバみしかないって!」
「私も同じ気持ち、かも」
卯月ちゃん響子ちゃん美嘉ちゃんだけじゃない。一度だけでも、またみんなと歌える日が来るのなら。それはきっと、素敵なことだから。ファンのみんなに対する、恩返しになるのかな。
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11
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:40:48.57 ID:EEAT6ERxo
「10年、かぁ……アタシらもアラサーなんだよね」
「なんだか、変な感じだね」
「シャボン玉みたいな恋、だなんて言ってられないね」
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:41:16.26 ID:EEAT6ERxo
「懐かしいなぁ……」
「私は今でもここを使っているけど、みんなと一緒にレッスンした思い出は鮮明に残っているよ」
久しぶりに来たレッスン場は5年前に比べて手狭になった気がしました。多分設備が整って来たからでしょう。私が横に大きくなった、なんてことはないはずです。……たぶん。
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:42:03.17 ID:EEAT6ERxo
「まるで同窓会だね」
ふと熊本にいた時のクラスの同窓会の案内が来ていたことを思い出す。今までは忙しさから欠席に丸をつけていたけど、そろそろ一度くらいは顔を見せたいな。
「コホン。積もる話もあると思いますけど、レッスンは厳しくいきますからね! 姉よりは優しいだろうと思わないでくださいよ?」
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:42:30.90 ID:EEAT6ERxo
「「「かんぱーい!!」」」
どんなお仕事よりもハードだった気がした地獄のレッスンを終えた後、疲れを全部吹き飛ばすように私たち3人はグラスをぶつけました。思えば。3人でお酒を飲むなんて初めてかも。前に集まった時は響子ちゃんが出産して間もない頃だったし。
「んん??!」
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15
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:43:25.92 ID:EEAT6ERxo
「ところで。2人はぁ、最近恋してますかぁ?」
「!?ゲホッゲホッ」
思わず噎せそうになってしまうもお酒を吹き出さないように何とか堪えて飲み干す。
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:44:08.54 ID:EEAT6ERxo
「むぅー、それ私に対する当てつけですかぁ?」
つまらなーい、と言いたげにほっぺたを膨らます。まるで有名人のゴシップを期待していたみたいだ。
思えば。私たちと同時期に活躍していた子達はガードが固いのか浮いた話はほとんど聞かない。美嘉ちゃんだってそうだ。世界で活躍するモデルときたら誰もが羨む大恋愛をしてそうなものなのに、今でも意外とウブなところがあるし。人のことはあまり言えないのだけど。
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AAS
17
:
◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:44:44.84 ID:EEAT6ERxo
「すぅ、すぅ……」
「ごめんな卯月、美穂。響子が迷惑かけたみたいで」
「そんな! 迷惑だなんて。楽しい女子会ができましたよ! ね、美穂ちゃん」
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18
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:45:20.35 ID:EEAT6ERxo
「そういえば、娘さんは?」
「あの子なら心配いらないよ。アイドルのお姉さんたちがいつも遊び相手になってくれているし。ファンも多いんだぞ? 流石は俺と響子の子だな! うん」
「ふふっ、子煩悩ですね」
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AAS
19
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:45:48.38 ID:EEAT6ERxo
ピンクチェックスクール再結成のニュースは瞬く間に広がっていき、日に日に周囲のボルテージが高くなっていくのが目に見えて分かりました。
ステージに向けての私たちの熱も高まっていき、いつしか私と響子ちゃんはあの頃と全く同じ、とまでは言いませんがアイドルとしての自分を取り戻せました。
「なんだか、若返った気がするな」
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20
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:46:34.01 ID:EEAT6ERxo
「はい! それじゃあ今日もレッスンを始めましょう!」
青木トレーナーの指示に従ってステップを繰り返す。
「あっ、すみません。靴、ダメになっちゃったみたいで。変えてきます」
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AAS
21
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◆XUWJiU1Fxs
2017/07/06(木) 00:47:21.65 ID:EEAT6ERxo
「頑張ってるあの子を応援したい」
「でも、自分の力で成し遂げないと」
以下略
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