勇者「勇者なんてクソ喰らえ」
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19:名無しNIPPER[saga]
2017/07/05(水) 09:51:38.88 ID:RoJC38a7O
山の麓まで行くと、へんちくりんな建物があった。すべすべした透明な岩が螺旋階段のように渦を巻いており、その頂上に星型の(これは黄金色に輝いてんだけど)奇妙な家が見える。
なんじゃこれ。アイシャも首を傾げたままだ。

アイシャ「変な建物だねぇ……あたしはここら一帯をいつも散策しているけど、こんな建物初めて見たよ。建築者の目的は何だろうね?」

勇者「ああ、あれだろ。気象観測台。本部と魔法でデータをやりとりしてんじゃねぇかな」

アイシャ「わざわざ麓に建てる必要があるのかどうか、考えものだね」

勇者「とりあえず行ってみようぜ。意外とレストランかもしれないし」

腹が減っていた俺は、安易にレストランだと決めつけ、アイシャを置いて走り出した。

アイシャ「またあのバカは……」

アイシャが背中の長弓を構えた。おっ、弓矢で止めてみるか? バーカ。お前のヘロヘロ矢なんざ当たるかよ。大人しくケツの穴でも……。
カッ!
鏃が岩に刺さる音が、すぐ横で響いた。
あと数cm右にズレていたら、間違いなく俺の眉間を貫いていただろう。

アイシャ「あたしも一緒に行く。今度こそ抜け駆けは許さない」

勇者「クッ、なんつー腕前だ。思考の範疇を軽く超えてきやがる……!」

俺は額に浮かんだ脂汗を掌で拭うと、岩壁になすりつけた。


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