勇者「勇者なんてクソ喰らえ」
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16:名無しNIPPER[saga]
2017/07/04(火) 23:59:19.61 ID:OBhwihw10
老婆「こんばんは、旅の方。もうすぐ夜の帳が下ります。さぁさ、中にお入りください」

勇者「あの、お代は……」

老婆「久方ぶりのお客様じゃ。別にお代はいりませんよ」

腰の曲がった老婆が俺を出迎えてくれた。しかも、払わなくてもよいとは。
川岸を歩いている時に豊旗雲を見かけたが、あれは無料で宿泊できる瑞祥であったか……。
何がともあれ、アイシャと一緒にいなくて安心だぜ。
雨風を凌げる寝床を手に入れたんだ。たとえベッドがふかふかじゃなくても、パンが石みてぇに固くても我慢してやるよ。

老婆「しなびたパンと胡麻のスープ。それから水しかございませんが……」

勇者「えッ!? 葡萄の実やミルクさえないの!?」

老婆「申し訳ございませぬ。なにぶん、険しい山の麓でございますから。王都まで食料を調達するのが困難なのですじゃ」

勇者「じゃあ野菜を栽培すればいいじゃん」

老婆「それができれば嬉しいのですが。パピプペポ山の火口から噴き出した魔素が降り積もり、野菜を怪物に変えてしまうのでございます」

勇者「宿屋が繁盛しないのも、魔王の仕業ってわけね。婆さん、どうしたら魔素を止めることができるんだ?」

老婆「旅の方、人に質問ばかりしてはいけませんよ。信じられるのは己の心のみですじゃ」

勇者「俺の心は、婆さんを信じろと囁いている」

老婆「ありがとうございます。そう言ってもらえると、この婆も気が休まるというもの」

部屋を見渡していた俺は、暖炉の前に寝転がっている人影を認めた。

勇者「誰だあいつ」


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