11:名無しNIPPER[saga]
2017/07/04(火) 09:55:13.29 ID:z7qpNiwHO
アイシャ「あたしを金持ちにしてくれ。それはもう、豪邸が何件も立つ程の大富豪に」
勇者「はっ?」
両手を大きく振り上げて説明する女狩人を、俺はぼんやりとした目で見つめていた。こいつは何を言っているんだ? そんなランプの魔神にするような願いを俺に頼んでどうする。
アイシャ「今すぐにとは言わない。魔王討伐も協力するし、道案内だって引き受ける。だから魔王を斃した暁には、沢山の褒美を馬車に積んで、狩人の村に凱旋したいんだ」
勇者「凱旋してどうすんの?」
アイシャ「あたしをいじめていた奴らを、金の力で見返してやるんだ」
勇者「金の力で見返す、か。くだらね。昔のことをまだ根に持ってんの? 執念深い女は嫌いだ」
すると女狩人は急に立ち上がって、俺の胸ぐらを掴んだ。その顔は抑え切れない怒りと悲しみの入り混じった、複雑な表情で満ちていた。
しまった、逆鱗に触れちゃったかな?
アイシャ「村八分にされた女の気持ちが、あんたに分かるとでも!?」
勇者「ハハッ、スゲー剣幕。はいはい、この話はやめにしよう。お前は俺を助ける。見返りに莫大な褒美がお前に与えられる。それでいいな?」
アイシャ「すまない、取り乱してしまったね。手を打とう。よろしく、ユ・ウシャー」
勇者「キツい旅になるぜ、アイシャ」
こうして仲間が増えた。
狩人は弓の名手で知られるから、ちょっとだけ心強い。
しかし女と二人旅か、なかなか緊張するぜ。
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