27: ◆eF65jN7ybk[saga]
2017/07/02(日) 17:31:55.17 ID:fE64C4yw0
それを皮切りにしてしゃくりあげるように涙をこぼす。ロビーの隅から聞こえる少女の泣き声とそれを見ているだけの自分を世間は痛い目で見てくる。
落ち着いてきたあたりで帽子をエミリーの頭に被せる。エミリーは、真っ直ぐ見つめる。そっと手を伸ばして、目元の涙を拭ってくれた。
「……仕掛け人さまも大和撫子ですね」
エミリーの姿を見て、なんだか感情の波が押し寄せて溢れてしまったのか。昨日のライブでも泣かなかったのに。
「えへへ……。おそろい、ですね」
くしゃっと笑うエミリーは絵になっていて、写真に収めたかったけれど生憎そらさんはいないし、カメラも持っていない。
だから、せめて脳裏に焼き付けよう。
十六歳の金髪少女とサラリーマンが二人で横に並んで、空港で泣いて。傍から見れば滑稽に見えるかもしれない。だけど、それでもいいと思えた。
エミリーの仕掛け人でいることができてよかった。そう思わせてくれただけで、十分彼女は大和撫子だと言えるだろう。
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