【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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◆Z5wk4/jklI
[saga]
2017/07/28(金) 23:40:45.83 ID:23vyEUVD0
「はい、今日はこちらの五人に来ていただいています、美城プロダクションの新しいアイドルユニットの皆さんです! 本日ユニットソングがリリースということで、記念すべきレコ発、インストアライブ! ということになりましたー! 聴いたところによると、本当に今日までユニット名も秘密だったんですって?」
インストアライブ会場。司会の女性にマイクを向けられ、春菜が困ったように笑う。
「あはは、ええと、ちょっと成り行きみたいな感じなんですけど、私たちのユニット名、なかなか決まらなくて……ギリギリでようやく、メンバーのみんなでこれしかないねって言って決まったんですけど、いろんなところで未定って言っちゃったから、もうこうなったら発売日まで秘密にしておこう! ってことになったんです」
「なるほど! それなら、せっかくですからユニット名も、私からお伝えするより、みなさんから発表していただいたほうがいいですよね! それでは、さっそく曲からいっちゃいましょうか! 歌っていただきましょう! お願いします!」
「はい!」
五人はそろって椅子から立ち上がり、ステージに立つ。
茜がマイクを握る。
「ユニットが結成されてから、色んなことがありました! 楽しいこと、大変だったこと、ぜんぶ、この五人で分かち合ってきました! この五人だからできたこと、乗り越えられたこと、たくさん、たくさんあります! 私たちの曲を、どうぞ、聴いてください! 私たちは!」
茜は、大きく息を吸い込む。
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最終話『FIVE』
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「お客さん、みんな楽しそうにしてくれてたね」
移動するマイクロバスの中、裕美は嬉しそうに微笑んだ。
「本当に。でも、緊張しました……無事に終わって、良かったです」
ほたるがほっと息をつき、ペットボトルの水を口にする。
「ここからはサイン会だ。次の会場でイベント開始前に軽食が取れるから、腹が減ってるだろうがもう少し辛抱してくれ」
俺が言うと、はーい、と五人の返事が返ってくる。
「茜ちゃんのMC、ハキハキしててすごくよかったっスよ」
「そうですか? ありがとうございます」
比奈が褒めると、茜は恥ずかしそうに頭を掻いた。
「でも、なんだか……『五人』って言うのがちょっと変な感じでした。ずっと、プロデューサーさんも……プロデューサーさんだけじゃなくて、今日のドライバーさんもそうですし、トレーナーさん、スタッフさん、プロダクションのアイドルの皆……いろんな人たちに支えられてきましたから、五人って言ったけど、もっとたくさんだなって」
「私もデビューしたての時に、同じことを思いました」春菜が会話に入る。「ふだん私たちが観ていたアイドルの姿は、ほんとうにたくさんの人の手で支えられてるんだって」
比奈が大きく頷く。
「漫画も、原作と作画で分かれたりしますし、仮に一人で両方やってても、本にしてくれる印刷所さんや、読んでくれる人が居ないと成り立たないっス。アタシたちアイドルも、アタシたちだけじゃなくてプロデューサー、スタッフさん、ファンの皆さん、みんなで物語を作ってるんスね」
「そう思ってくれてるだけで十分だ。裏方は裏方で、見えてなくたってプライドもってやってるからな」
助手席に座った俺は、前を見たまま言って、それから一瞬だけ、となりのドライバーに目を向け――目が合った。
お互いに笑って頷き合い、また前を向く。
晴れた空が眩しかった。
シートに体重を預け、俺もペットボトルの水で喉を潤す。
ここまで、とにかくすべてが激動だった。
それでもなんとか、五人をCDデビューまで連れてくることができた。
肩の荷が下りた、とはさすがにまだ言えないが、ここまでこれたことに、充実感を感じるくらいは許されてもいいだろう。
比奈の言ったように、アイドルは一人ではできない。
同時に、プロデューサーも、一人ではできなかった。
茜も、比奈も、春菜も、裕美も、ほたるも、そして俺も。
たくさんの人々に支えられて、いまここに立っている。
自然と、俺は感謝していた。
先輩プロデューサーに。茜たち、ユニットの五人に。両親に。これまで関わってきたすべての人に、感謝したかった。
ゆっくり恩返しをしていこう。そう考えながら、俺はペットボトルをドリンクホルダーに戻す。
「よーっし! 次のお仕事もがんばりましょう!」
「おおーっ!」
茜が大きな声で言うと、比奈、春菜、裕美、ほたるがときの声をあげる。
マイクロバスは、次の目的地に向けて走っていった。
五人の活躍は、続いていく。
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