【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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76: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/07/28(金) 23:37:17.95 ID:23vyEUVD0
 ――関裕美さんは、最初、このユニットに参加することになったとき、どう感じましたか?

「最初は、不安だった……知らない人と関わるのも苦手だし、人前に出ないお仕事のほうがやりたいって思っていたから。きっと、スタッフさんやメンバーのみんなにも、幻滅されちゃうだろうって、思ってた」

 裕美は昔を懐かしむみたいに、空中を見つめていた。

「今は、あの時はどうしてあんなに不安に思ってたんだろうって、不思議に思ってるの。ううん、いまでも不安に思うことはたくさんあるけど……ええと、不安でも、大丈夫って思えるようになったのかな。不安なことは悪いことじゃなくて、できるようになる一歩前なんだって。それに、支えてくれる人達もいっぱいいるし、頑張れる……頑張らなきゃ、頑張りたいって思えるようになった、かな」

 裕美ははにかむ。

「このユニットをやれてよかったって思ってる。だから、応援してくれる皆にもその気持ちが届くといいな」



 ――日野茜さんは、

「はいっ!」

 ――おおっと、すごく元気ですね。日野茜さんもこのユニットがアイドルとしてのデビューになるそうですね。なにがデビューのきっかけだったんですか?

「私も、スカウトしていただきました! 最初に声をかけてもらったときは驚いて、逃げ出してしまいました。家に帰って、落ち着いて考えたら、ちょっとやってみたいなって思って、それで参加してみることにしたんです! それからは毎日が楽しくって、きらきらしていて! レッスンも、お仕事も、ぜんぶ初めてのことばっかりで、とっても充実していました!」

 ――ユニットのみなさんとはどうですか?

「とっても素敵な仲間に巡りあえました! 本当に感謝しています!」

 茜は姿勢を正し、凛とした表情で答えた。それから表情を崩す。

「ユニットのみんなも、それからプロダクションのみんなも、本当に友達がたくさん増えて、毎日が楽しいんです! そんな私の、私たちの楽しい、嬉しいっていう気持ちを、みなさんに届けられたらいいなと思っています! 新曲、応援、よろしくおねがいします!」

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「はあーっ、緊張しました!」

 茜はスタジオから出ると、ほっと胸をなでおろす。先に撮影を終えた比奈たちが茜をねぎらった。

「よし、ばたばたしてすまないが、次はストアイベントだ、表のマイクロバスに乗ってくれ」

 俺は時計を見ながら五人に指示をする。
 今日はついに、五人のユニットの曲が発売される日だった。

 収録は概ね順調に終わり、事前の告知でも反応は上々。
 先輩のアシスタントをしていた時期の経験からすれば、準備しただけの成果が出ている、といったところだろう。

 今日は複数の店舗でサイン会、そのうち一つではインストアライブ。ライブはネット配信も行われる。
 今は配信のための映像素材としてメンバーのコメントを収録していたところだった。

「それじゃ、ありがとうございました、あとはよろしくおねがいします!」

 残っているスタッフに挨拶をして、俺もスタジオを飛び出す。

「みんな忘れ物ないな? よし、すんません、出発してください」

 俺はマイクロバスの助手席に乗り込むと、ドライバーに言いながら扉を閉めた。
 マイクロバスが走り出す。

「いやー、忙しすぎてこれからライブって実感がないっスね……本番、大丈夫でしょーか」

「サマーフェスのときみたいに大きな会場というわけじゃないですから、お客さんとの距離も近いですし」

「近いほうが逆に緊張しそうっス……」

 春菜と比奈が談笑している。
 その後ろの席では茜とほたるが真剣な眼で歌詞カードを見つめていて、さらに隣の席では裕美が刷り上がったCDを手に取り、感慨深そうな目で見つめていた。



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