【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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70: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/07/28(金) 23:18:46.68 ID:23vyEUVD0
「茜」

 俺が声をかけると、茜がこちらを見た。

「俺にタックルしてこい」

「……えっ?」脈絡のないことを言われて、茜は困惑した表情になる。「で、でも」

「ここがどこだか、覚えてるか?」

 俺は茜に微笑みかける。
 茜はあたりを見回して――泣きそうな顔で頷いた。

 そう、ここは俺が初めて茜と出会い、そして茜をスカウトした場所。
 アイドルとしての茜が始まった場所だ。
 そして、プロデューサーとしての俺が始まった場所でもある。

「あの時のことを、思い出したいんだ」

「で、でも! 危ないですよ!」

「大丈夫、受け身はちゃんと取る」

「……」

 茜は迷ったような顔をする。俺はもう一押しすることにした。

「頼むよ」

「……わかりました」

「全力で来いよ」

「はーッ、はーッ、はーーーーー……」

 茜は深く、深く息をつく。俺は直立して茜を待った。
 茜は目を閉じ、祈るように天を仰ぐ。そして――

「……ボンバーーーーッ!」

 茜は空に向かって叫ぶ。

 この声だ。鼓膜を破られそうなほど、強くて大きくて元気な声。
 あのときより、さらに声量が大きくなったんじゃないだろうか。
 レッスンの成果だと、俺はうれしくなった。
 直後、茜は俺とのあいだ、約十五メートルの距離を疾走し、その全体重をかけて俺にタックルした。

 衝撃。
 小柄で体重の軽い茜とはいえ、人一人が全力でぶつかってくれば、衝撃は相当なものだ。
 重心を落として身構えることすらしていなかった俺は、そのまま斜め後ろ方向へとバランスを崩す。

 俺は土手をごろごろと転げ落ちた。視界の上下左右が激しく入れ替わって、地面に身体のいろんなところをぶつける。
 もちろん、頭は両腕でガードしている。二度目なら慣れたものだ。

 転がっているあいだ、たくさんの想い出がフラッシュバックする。
 茜との出会い、比奈との出会い、春菜、裕美、ほたるとのたくさんの想い出。
 どれも、愛おしいものばかりだ。
 土手の下で体はとまり、俺は河川敷の芝生に両手を投げ出して、大の字に寝転がった。


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