【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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36: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/07/15(土) 00:23:11.94 ID:JPdS/Cks0
 屋上へ向かう階段の前に、ほたるは立っていた。
 階段の途中には茜が立って、ほたるに向かって手を差し伸べている。
 ほたるは追いついた俺のほうを見る。
 ほたるは迷っているようだった。
 右手は握り締めて、胸の前に。
 左手は不安そうにスカートの裾を掴んでいる。

「プロデューサーさん、私……」

「ほたる、茜たちと向き合ってみてくれ」

 ほたるは小さく口を開閉させて、それからゆっくりと茜のほうへ向き直る。
 俺はその後ろに立った。

「ほたるちゃん!」茜は微笑む。「ほたるちゃんは不幸なんかじゃありません! もし不幸なら、不幸ごとキラキラすればいいんです! 私たちだって一緒ですから! 行きましょう!」

 俺はほたるの背をそっと押す。
 ほたるは迷うような足取りで、それでも少しずつ、茜のほうへ歩いていく。
 階段をのぼり、ほたるは差し出された茜の手を、おずおずとにぎった。
 茜はそれをぎゅっと握ると、強くひとつ頷いて、ほたるを引いた。
 ほたるは茜に引かれて、茜と一緒に階段を上る。

「私はほたるちゃんと一緒に居て、困ったことなんてありません! ううん、楽しいことばっかりでした! だから、ほたるちゃんも私たちと一緒に居たいと思ってくれたら、嬉しいです!」

 茜はほんのすこし頬を染めて、ほたるに言う。

「……ありがとう、ございます」

 ほたるは恥ずかしそうに笑った。
 階段を上ると、その途中には春菜が立っていて、茜のときと同じように、ほたるに手を差し出している。

「ほたるちゃん」春菜は言いながら、もう片方の手で眼鏡のテンプルをつまむ。「私も、自分に自信がなくて、怖かったときがありました。怖いっていう気持ちに身を預けるのって、簡単なんです。でも、それじゃだめなんだって、不安に立ち向かっていかなきゃって今は思えます。私を支えてくれる人達にも、眼鏡にも、失礼になってしまいますから。……そう教えてもらったんです。ほたるちゃんも、立ち向かってください。大丈夫です、私たちも一緒に、立ち向かいますから!」

 茜はほたるとつないでいた手を離し、ほたるの背を軽く押す。
 ほたるは階段をのぼり、春菜の手をとった。
 二人は階段を上っていく。

「怖いと思ってるときって、怖いものが普段より大きく見えるみたいなんです。レンズのくもりが取れて、怖がらずに見られるようになったら、そんなに怖がらなくてもいいんだって思えるようになりましたよ。だから、きっとほたるちゃんも大丈夫です」

 春菜は微笑む。

「もしも一人で不安なら、眼鏡どうぞ。私たちが、ほたるちゃんの眼鏡になりますから」

 階段を上ると、踊り場には比奈が立っていて、ほたるに手を差し出している。

「春菜さん……」ほたるは春菜の顔を見て、それから比奈のほうを見る。「比奈さん」

「ほたるちゃん」比奈は穏やかに微笑む。「アタシはほたるちゃんがいないユニットなんて考えられないっス。そういうコンセプトだからとかじゃなくて、アタシは五人のうち誰が欠けても嫌っス。そんなところまできてしまったっス」

 春菜はほたるとつないでいた手を離し、ほたるの背を軽く押す。
 ほたるは階段をのぼり、踊り場に居る比奈の手をとった。
 二人は階段を上っていく。

「物語の主人公には困難がつきもので、それを乗り越えてこそ輝くっス。アタシたちは五人でひとつのユニットなんスから、ちょっとの不幸くらいチームワークで乗り越えるっスよ。一蓮托生っス」

 屋上へ向かう階段を上がると、その途中には裕美が立っていて、ほたるに手を差し出している。

「ああ……」

 ほたるは裕美を見上げて、泣きそうな声をあげる。
 比奈は頭を掻く。

「筋書きをくれる腕のいいプロデューサーもついてるッス。もっと気楽に、乗っかっていいと思うっスよ」

 比奈はほたるとつないでいた手を離し、ほたるの背を軽く押す。
 ほたるは階段をのぼる。
 裕美はほたるの両肩に手を置き、ほたるを見つめ、それから背中に手を回して、優しく抱きしめた。
 しばらくそうしてから、裕美はほたるから身体を離して、ほたるの手をとった。
 二人は階段をのぼっていく。



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