【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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32: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/07/15(土) 00:15:23.96 ID:JPdS/Cks0
「応援に来ましたっ!」

 茜、比奈、春菜、裕美の四人が控室に入ってくる。
 開演時間まであと三十分程度。茜たちはオフの日なので、単純にほたるを激励したあとにイベントを楽しむつもりだろう。

「……どうした?」

 俺は思わず四人に尋ねる。入ってきた茜の顔は見るからに不機嫌そうで、春菜、裕美もどこかぎこちない表情をしている。
 比奈に目線を送ると、苦笑いを返された。

「なんでもありませんっ!」

 茜は言うが、顔は笑ってない。よくも悪くも嘘をつけないのが茜だ。

「……私、ですか?」

 ほたるはぽつりと言う。

「あっ! いやっ、その、ええと、ほたるちゃんは、そのっ!」

 茜が明らかに動揺したので、ほたるは申し訳なさそうに目を伏せる。
 茜の後ろで比奈たちがそれぞれに「あちゃあ」といった顔をした。
 繰り返すが、よくも悪くも嘘をつけないのが茜だ。

「なにがあった?」

 俺は尋ねる。隠せないなら問題の中身をきいたほうがいい。

「……ここに来るまでに、ほたるちゃんがナレーションとして出演していることを不安に思っているって話がきこえてきたっス」

 比奈はほたるのほうを気遣うように見て言った。

「なるほどな」俺は隣にいるほたるの背を軽く叩く。「気にするな」

「大丈夫です、いつものことですから。……すいません」

「ほたるちゃんっ!」

 茜が半ば叫ぶように言った。そのくらい、ほたるの表情は色を失っていた。

「大丈夫ですよ」

 ほたるは微笑む。微笑むけれど、力はなくて、本当に何もかもが空っぽで、どうしようもなく、どうにもできない微笑みだった。
 俺も喉が詰まるような気持ちになった。いったい、なにがあったら、こんな表情をするようになってしまうのか。
 茜が低くうめく。

「……みんな、とりあえず座ってくれ」

 俺は控室の椅子をすすめる。四脚しかないので、茜と俺以外の四人が用意された椅子についた。
 重たい沈黙が流れる。
 俺はひとつ息をついた。


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