【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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31: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/07/15(土) 00:13:07.64 ID:JPdS/Cks0
 ユニットをプロデュースするにあたって、すでにプロダクションに所属しているアイドルについては事前にできるだけのことを調べた。
 ほたるについて得られたのは、白菊ほたるというアイドルは、自分に運がないと思っている、ということだった。

 美城プロダクションより前にほたるが所属していた事務所は殆どが倒産しており、過去出演したイベントには天候、事故などの原因で中止、内容の変更が散見される。
 ほたるは、それを自分の不運のせいだと考えている。

 これは非常に根の深い話だ。なぜなら、実際にほたるが不運の持ち主であるかどうかということは実証不可能だからだ。
 そんなものは評価によってどうにでも考えることができる。
 ちなみに俺はここまで数か月ほたるに接していて、ほたるが原因でなにかの不利益を被ったとは考えていない。

 一方で、運、という言葉にほかの業界よりも重きがおかれるのもまた芸能界だ。
 なにがヒットするかの予想が困難な芸能界においては、運も実力のうち、という言葉が非常によく流通する。

「少し風が強いですね」

 ほたるが自分の髪を押さえて言う。陽光に照らされ、誰もいない屋上にぽつんとたたずむロングスカート姿のほたるは非常に絵になっているのだが、どうにもイメージがネガティブだ。
 まるで荒廃した世界にひとりぼっちで残されているみたいに見える。
 ほたるにはきちんと実力がある。自分自身の気持ちに折り合いがつけば、化けることができるはずだ。
 だが、それをさせるには、ほたる自身が作ってしまっている壁が厚すぎる。

「天気は大丈夫でしょうか」

「大丈夫だろう、降水確率は気にするようなものじゃなかったし、台風予報も確認したが、コースはかなり離れていたからな」

「そうですか……」

 ほたるはそれでも、不安そうに空を見た。

「よし、確認はこんなものか。ほたるはほかに見たいところはあるか?」

「いえ、大丈夫です」

「じゃあ……とりあえず、控室に戻るか……っと」

 俺がそう言ったとき、スーツのポケットの中でスマートフォンが鳴りだした。俺は画面の表示を見る。茜の番号だった。



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