2:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:34:51.27 ID:mht4CVJf0
同じソファに背を預ける隣人改め、杏奈ちゃんにそう話しかける。
私の言葉に、杏奈ちゃんはいつもの桃色のウサギパーカーを深くかぶってしまった。だけどそれは私と目を合わせようとしていないのではなく、照れているんだと思う。可愛い……、と口にしないで個々のの中で思った。
「百合子さんは…………自分のしたいコマンドだけじゃなくて、相手のコマンドも警戒したほうがいいと思う……よ?」
「うう、耳が痛い」
3:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:35:22.81 ID:mht4CVJf0
「杏奈ちゃん、めちゃくちゃ眠そうだね」
「うん……。実は、夜更かしして……練習してた…………」
うつらうつら、そんな表現がこれ以上にないほど、杏奈ちゃんの表情にはあうようだ。
4:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:35:56.79 ID:mht4CVJf0
………………あれ?
いつもなら杏奈ちゃんが何も言ってこない。いつもだったら「暑苦しい…………」とか「どきどきするから……駄目…………」とか言ってくるのに。
どうしたんだろう杏奈ちゃん。
抱きついたままなので杏奈ちゃんの表情はうかがえない。耳元に、ささやくように声を出す……なにか、卑猥な気配がする文字列だ、なんて思わなくもない。
5:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:36:22.39 ID:mht4CVJf0
当たり前だけど、返答はない。
だけど、そうだったら嬉しいな。
答えは杏奈ちゃんのみぞ知る、ってね。
ともかく私は体勢のきつそうな杏奈ちゃんを起こさないようにそっと動かして、自分の膝の上に寝かせることにした。所謂膝枕である。ソファの上にそのまま寝かすと首を痛めそうだもんね、他意はないよ。
そして、手持無沙汰な手でなんとなく杏奈ちゃんのうさ耳の目立つ頭を撫でてみる。
6:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:36:49.72 ID:mht4CVJf0
ちょっと前のことだ。
亜利沙さんが私に頼んできたことがあったのだ。
『百合子ちゃん! あなたを杏奈ちゃんの親友と見込んでお願いがあります!』
7:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:37:18.11 ID:mht4CVJf0
『それと杏奈ちゃんにどう言う関係が』
『実はですね。これを杏奈ちゃんにあげて欲しいんです』
『…………? 自分であげれば良いんじゃないですか?』
8:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:39:12.37 ID:mht4CVJf0
「もちろん断ったからね。安心して、杏奈ちゃん」
「ぐぅ…………えへへ……」
亜利沙さんもよくあんなこと思いつくなぁ。杏奈ちゃんの使用済み枕カバー、なんてさ。
まあ確かに、そんなものがあったら自分の枕につけて寝るたびに杏奈ちゃんの匂いを堪能するけどね。
9:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:39:49.32 ID:mht4CVJf0
「感触を楽しむのは、セーフだから……!」
「んぎゅ………………」
杏奈ちゃんが苦しそうな声を出したので指を離す。するとすぐに甘やかな表情に戻っていった。……私はなんということをしてしまったのか。杏奈ちゃんの眠りを妨げるなど……うう、反省。
しかし、触るのがダメとなると……嗅ぐしか、ない。
10:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:40:22.43 ID:mht4CVJf0
「百合子、さん……?」
「ひいぃ!?」
あと数ミリ、そんな距離を残して私は潜水艦のごとく浮上させられた。
11:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:40:56.66 ID:mht4CVJf0
「もうこんな時間!?」
「杏奈、二、三時間も寝てたんだ…………」
私の思っていた数倍は時針が回っていたようで、よく見たら窓の外は夜の帳が下りてきていました。
門限もあるし、早く帰らないと!
12:名無しNIPPER[sage]
2017/06/25(日) 22:41:22.46 ID:mht4CVJf0
「百合子さん……。さっき、杏奈に顔を近づけて、何してたの…………?」
「え、えぇ!?」
まさかの追求。
杏奈ちゃん、寝ぼけてて誤魔化せるかな、と軽く見ていたけれどまったくの検討違いのよう。
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