4: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2017/06/22(木) 13:58:20.88 ID:eLlVio3H0
「ちょっと豪雨さん! 煙草を吸うときはベランダでっていっつも言ってるじゃないですか!」
「おま、折角の俺のハードボイルド気分をだなぁ……」
「そんなちぃとも腹の足しにならないものは、犬に食わせちまえばいいんですよ。
とにかく、あなたの雇用主はわたしです。ルールを守れないなら解雇です、解雇!」
「……」
俺は無言のままに圧力に屈し、煙草を携帯灰皿で押しつぶす。ついでにサングラスも外した。家の中でサングラスが必要な理由は特別にないのだ。
稀有はいつだって俺に対して解雇をちらつかせ、言うことを聞かせようとしてくるのだ。これはれっきとしたパワハラである。訴えたら確実に勝てるだろう。
この都市に労働基準監督署が現存していれば、の話であるが。
わかっていないのだ。探偵なんてやくざな稼業であるからには、少しは格好つけたってばちもあたるまいに。
トレンチコートに身を包み、バーカウンターで煙草をくゆらせる渋みを稀有が理解するのは、一体いつになることやら。
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