16: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2017/06/22(木) 14:06:17.21 ID:eLlVio3H0
俺は陣内崎に来ておおよそ半年。対して稀有は二年以上を過ごしている。当然街については彼女のほうがずっと詳しいので、俺にできることといえば荷物持ちと、周囲の気配に慎重になるくらい。
どちらかといえばお目当ては裏路地のようだった。七区、露天商通り。またの名を廃品通り。
最も闇が深いと言われている八区に隣接していながら、まだこの辺りの治安は良好だ。ただし、あくまで八区に比較して、という話である。大通りでは露天商がゴザに商品を並べ、ただ黙ってじっとしている。商品も宝石類からよくわからない機械基盤まで様々だった。
活気があるというわけではない。やはり、どこか沈殿した空気が漂っている。
浮浪者がダンボールの上で横になり、中身のなくなったビール瓶の口を舐めている。フードとマスクで顔を隠した男の姿も多い。銃を忍ばせているやつだって、すれ違っただけで三人はいた。
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