15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2017/06/22(木) 14:05:51.79 ID:eLlVio3H0
陣内崎は魔都との別称もあるとおり、様々な人種と物品が縦横無尽に入り乱れた都市である。心地よい日光に照らされた広場を擁する大通りもあれば、そのすぐ脇の薄暗がりでは非合法の品も取り扱われている。
ロシアンマフィア、華僑、在日米軍、そして「能力者」。さながら火薬庫となったこの都市は実質的に治外法権で、政府だって手を出せない。
いや、手を出そうとした結果を誰も忘れていないだけか。忘れたころに、どうせまた、同じことは起こる。栗にやられた痛みが残っている間は、火中のそれを拾おうとはしないという程度に過ぎない。
もう一度内戦が起きたとすれば、今度は一体、何人が死ぬのやら。
中には危険を承知で栗を拾おうとする物好きもいるが、そんな人間は山師と代わらない。もしくは油田を、黄金郷を探しているに近しい。
勿論完全に無法地帯と言うわけではないし、政府も見捨てたわけではない。寧ろ、内戦は二度とごめんだと言うように――それは事実なのだろうが――資材や人材を投資して議会制政治を導入するくらいには至っている。
その反面、光と闇の乖離は急速に進んだ。らしい。とは稀有の弁で、俺はまだそれを実感してはいない。
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