神様、どうか彼らを御助け下さい。
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14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2017/06/22(木) 14:05:11.61 ID:eLlVio3H0

「遅いですよ。パーティの準備しましょうよ」

「……あぁ」

 打って変わって楽しそうな稀有の表情に、やっと自らの頬が綻んだのを知る。俺は決してロリコンではない。自分にとって大事な存在の笑顔のために働くのは、実にハードボイルド的だと構えているだけだ。
 まったく稀有は無表情なほうではない。が、しかし、今やそれは過去の話。そして彼女から豊かな感情の機微を奪ったのは、周囲の大人たちだ。
 拳を握りしめて「許さない」と言えればまだ格好もつくのだろうが、悲しいかな、俺は拳を握りしめることなどできなかった。代わりに彼女の手を握るだけ。

 二人ぶんの準備などコンビニで適当に買えばいいとも思うのだが、稀有にはそんなこと赦されざるようで、ぶんぶんと力強い拒否を頂いた。ならどうするのかと尋ねれば、陣内崎の街中まで行くのだ、と。
 断ればまた解雇だなんだといわれかねない。雇用主の意向に沿うことに否やもない。地下鉄の駅を目指すことにした。

 握った手をぶんぶんと振りながら、鼻歌交じりで稀有は歩く。年齢相応の、あるいは比べても少し子供っぽいしぐさだった。




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