23: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:24:25.31 ID:OIoYntls0
それからまた、喋っては静かにお酒を飲むような時間がしばらく続いて。
そろそろ、帰らないと明日に支障が出る時間になってきた。
何より、私は明日、仕事こそないけれど午後からレッスン。
凛ちゃん達と一緒だから、ちょっと頑張らないと。
24: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:25:17.11 ID:OIoYntls0
お互い黙りこくってしまって、席を立つことができない。
プロデューサーが何を思っているかは分からない。
けれど……この時間が終わってしまうのが惜しい。
それだけが今、胸の中を占めていた。
25: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:26:55.67 ID:OIoYntls0
「でも、明日はレッスンもありますから……帰らないと、ですね」
「はい。だから、あと一杯だけ飲んだら、本当にお開きにしましょうか」
それがきっと、落としどころ。
26: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:27:59.05 ID:OIoYntls0
「……それじゃあ最後の一杯ですけど、どうしましょうか」
「あー、僕に任せてもらってもいいですかね」
「あら、何かいいのがあるんですか?」
27: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:28:31.56 ID:OIoYntls0
「楓さん、ピニャコラーダっていうカクテル、知ってますか?」
「……ぴにゃこら太?」
「いやあの緑の物体ではなく。まぁ元ネタかもしれないですけど……」
28: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:30:32.71 ID:OIoYntls0
「あれに、ストロベリーのリキュールを加えたものなんですけどね。実はその、楓さんの、6/14の誕生酒なんですよ」
その言葉に、私は目を丸くする。
「まぁ、そうだったんですか」
29: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:31:33.62 ID:OIoYntls0
「やっぱりプロデューサー、そんな事知ってるなんて、スケ」
「コマシじゃ、ないですからね? 実は、調べておいたんです。誕生日だし、頼む機会もあるかなと思って」
「ホントですか?」
30: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:32:05.49 ID:OIoYntls0
なんて、そんな事を言っていたら、丁度カクテルが出来たらしい。
運ばれてきたのは、苺ミルクのような色の、まるでデザートみたいなカクテル。
ココナッツと苺の香りが、とてもいい。
「冗談はともかくとして。それじゃ、飲みましょうか」
31: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:32:41.84 ID:OIoYntls0
「どうですか?」
「ええ、美味しいです。とっても」
甘くて、フルーティで、とても美味しいカクテル。
32: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:33:53.39 ID:OIoYntls0
やがてカクテルは飲み終わってしまい、今度こそお開きの時間。
相変わらず、名残惜しくはあるけれど……けど、今度は不思議とすっきりとした気持でもあった。
私の中で、この気持ちがひとつの型に嵌ったから……かしら。
「それじゃ、これで。本当に、送らなくて大丈夫ですか?」
33: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/06/14(水) 22:34:24.86 ID:OIoYntls0
「ふふ、そんなことありません。色々考えてくれたんだなって、嬉しかったですから。最高の誕生日プレゼントでした」
「……なんか、恥ずかしいですね」
「本当のことですから。胸を張ってください」
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