高垣楓「なんでもない特別な日」
1- 20
4:名無しNIPPER[saga]
2017/06/14(水) 03:13:12.88 ID:8j/lUozC0

 子どもたちと別れると、ちらちらと通勤や通学に向かう人たちの姿が見えてきた。プロデューサーも、今頃こうして出社しているのだろうか。あるいは、もっと早く?

 仕事は午後からだけど……事務所に行ってもいいかもしれない。ただ、運動して汗をかいてしまったから、一度帰ってシャワーを浴びてから、だけれど。

 しかし、適当に歩いてきたからどこへ行けば帰ることができるのかわからない。地図アプリを使えばすぐなのだけれど……まだ時間はあるから、また適当に歩いていこう。

「……楓さん?」

 そうして歩いていると、制服姿の凛ちゃんに声をかけられた。あら、凛ちゃん。おはようございます。

「え? あ、おはようございます。……こんなところで、何してるの?」

 何をしているのか、と聞かれると答えに困る。散歩?

「散歩って……楓さんの家、この近くじゃなかったよね?」

 そうかもしれません。

「そうかもしれません、って……まあ、いいけど。楓さんは、午後からだっけ? なら、急がなくてもいいけど……気をつけてね?」

 心配されてしまった。でも、そんな凛ちゃんの優しさが嬉しくて、私はありがとうございます、と笑いかける。

「……本当にわかってる?」

 どうやら、笑みを違う意味で受け取られてしまったらしい。心配してくれるのは嬉しいけれど、私、実は大人なんですよ?

「……まだちょっと心配だけど、私も学校だから、もう行くよ。楓さん、本当に気をつけてね」

 はーい。そう言って私は凛ちゃんを見送り、気をつけて帰った。気分は女スパイ……なんちゃって。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
11Res/11.68 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice