高垣楓「なんでもない特別な日」
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3:名無しNIPPER[saga]
2017/06/14(水) 03:11:47.24 ID:8j/lUozC0

 街を歩いていると、朝早くからランニングしている人を見かける。凛ちゃんや美波ちゃんはランニングを日課にしている……と話していたような気がする。あの二人はストイックだけれど、少々頑張りすぎなところもある。そのあたりはプロデューサーがしっかり見ていると思うけれど、心配になることがないわけではない。

 また美波ちゃんを部屋に呼んでもいいかもしれない。お出かけするのもいい。そうして少しでも気を休めてくれたらいいし……単純に、私も美波ちゃんとお出かけしたりしたいから。

 朝から開いている飲み屋さんもあったりするけれど、さすがに今から飲んでしまうと仕事に支障があるかもしれないので我慢する。前に瑞樹さんや心さんと一緒に朝から飲みに行った時は楽しかったな、と思い出す。また休日が重なった時にでも行きたいところだ。志乃さんならいいお店を知っていたりするだろうか。早苗さんも知っているかもしれない。美優さんや留美さんは……知らないかな。どうだろう。また聞いてみよう。

 どれくらい歩いたのか、知らない公園に着いた。遊具もあったので、久しぶりに遊んでみる。……滑り台はダメだったけれど、ブランコには乗ることができた。久しぶりに遊ぶと楽しいもので、時間を忘れてブランコをこいでいると早朝から散歩している親子に見つかってしまった。

「おねえちゃん、ブランコこぐの、へただね!」

 幼稚園児くらいの男の子に明るい顔でそんなことを言われてしまった。お母さんからすみませんと謝られたので、「大丈夫ですよ」と返した。

 しかし、そう言われてしまっては本気を出すしかないでしょう。これでも自分は和歌山育ちだ。都会の子にはまだまだ負けない。

 そうやって私が本気でブランコをこぐと、「すごい! おねえちゃん、今の、どうやったの!?」ときらきらした目で聞かれてしまった。それからその子とブランコや鉄棒で遊んでいると、その子の友達もやってきたので、その子たちとも一緒に遊んだ。

「おねえちゃん! わたし、おうたがうたえるの!」

 ある女の子がそう言って歌った歌は、愛梨ちゃんの『アップルパイ・プリンセス』だ。少々舌っ足らずに歌われるその歌はとてもかわいらしくて、愛梨ちゃんが聞いたらきっとよろこぶだろうな、と思った。

「おねえちゃんも、なにかうたって?」

 そう言われたので、何か歌うことにした。でも、何を歌えばいいだろうか。

「それじゃあ、卯月ちゃんの曲!」

 卯月ちゃん……ということは、『S(mile)ING!』か『はにかみdays』。どちらがいいか……考えて、私は『S(mile)ING!』を歌った。子どもたちはとてもよろこんでくれたようで、「おねえちゃん、おうたうまいね!」と言われてしまった。そうなんです、実は私、アイドルなので。

 お母さん方の中には私が誰なのか気付いている様子だった人もいたけれど、そこには触れないでいてくれた。……さすがに、これを知られるとプロデューサーに怒られてしまうかもしれない。でも、その時はその時だ。



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