2:名無しNIPPER[saga]
2017/06/14(水) 03:07:11.81 ID:8j/lUozC0
早朝の街は静かで、涼やかだ。
早朝からのロケというのはあまり珍しくないけれど、ひとりで歩くのは新鮮かもしれない。
「……ふふっ」
『ひとりで歩くのは新鮮』……なんて、少し前までの自分なら絶対に思わなかった。
自分は変わったのだろうか。自分は変われたのだろうか。
アイドルになってから、色んなことがあった。色んな経験をさせてもらって、色んな人で出会うことができた。
そういったすべてに変えられて、変えてもらって……今の自分がいる。
『楓さんは、変わりましたよね』
この前、モデル時代の知り合いに会った時に、そう言われたことを思い出す。
『私、知りませんでした。楓さんって、面白い人だったんですね』
面白い人かどうかはわからないですが……失望しましたか?
『……確かに、ちょっと、失望しちゃったかもしれません。楓さんは、ずっと、私の憧れで……テレビなんかでの扱いを見ると、ちょっと、悔しくなっちゃいます。私の楓さんをバカにするなー、とか、そんなことを、思ってしまうこともあります』
そう言って、それから、彼女は笑った。
『でも、私が知らなかっただけで、楓さんは私と同じで――ううん、私よりも、どうしようもない人だったんですよね。そう思うと、なんだか一気に、仲良くなりたい! って思いました。……今更ですけど、よかったら、連絡先、交換しませんか? いつか、楓さんと飲みに行ったりして、もっとお話したいです!』
彼女とは、今ではよく連絡する仲になっている。まだ一緒に飲みには行けてないけれど、時間がとれたなら、いつかきっと、と思う。
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