10: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:07:07.01 ID:bk9mFZZ70
「どうしたの? ぼーっとしてるけど」
彼女が心配そうに顔を覗き込んでくる。
ああいや、と言いながら首を振る。
11: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:08:15.90 ID:bk9mFZZ70
「そうだよ。前はけっこう短かったのに」
「うん。実は伸ばしてたの。ばれちゃったかあ」
おどけたように彼女が笑う。その様子につられて、俺も笑ってしまう。
12: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:09:42.09 ID:bk9mFZZ70
「もしかして、お前も初詣に?」
「え、うん。そうだよ」
「じゃあ、よかったら一緒に行かないか」
13: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:10:18.37 ID:bk9mFZZ70
「君は大学生……進学してるよね?」
「ああ」
「もう二十歳も越えちゃってるし」
14: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:11:22.99 ID:bk9mFZZ70
「二十歳といえばお前、覚えてるか、あの約束」
そう言うと、暫く考え込む素振りを見せてから彼女が答えた。
「ああ、小学生くらいの時の、大人になったら結婚しようねってやつ?」
15: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:13:15.41 ID:bk9mFZZ70
これまで境内に足を踏み入れたことはなかったが、神社の前を通ったことはあった。
奥行きがないため、割とせせこましい印象を受けたことがある。その中を人がごった返していた。
「すごいな、これみんな初詣なのか」
16: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:16:28.30 ID:bk9mFZZ70
「そういやお前は甘酒嫌いだったよな」
「うん、生姜が苦手なの」
「惜しいなあ、こんなにうまいのに」
17: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:17:18.31 ID:bk9mFZZ70
「ねえ」
「うん」
18: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:18:14.33 ID:bk9mFZZ70
「会ってない間、元気にしてた?」
最後に辿り着いた公園のベンチに腰かけて彼女が尋ねてくる。
「ああ。そっちこそ、会ってない間は一体なにしてたんだ」
19: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:19:49.87 ID:bk9mFZZ70
「でしょ? 一度行ってみたかったんだよね。いい機会だったから」
「だからって、制覇してしまうこともなかっただろうに」
思わず苦笑してしまう。
20: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:20:55.15 ID:bk9mFZZ70
「……まだやり残したことは、あるのか?」
寝入りかけの猫を撫でるように、慎重に尋ねた。
28Res/12.88 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20