五年と少しの歳月に
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16: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/06/14(水) 00:16:28.30 ID:bk9mFZZ70
 「そういやお前は甘酒嫌いだったよな」

 「うん、生姜が苦手なの」

 「惜しいなあ、こんなにうまいのに」

 「君は昔から甘酒飲んでたよね」

 「そうだったっけか」

 過去を懐かしむように、甘酒を飲む。身体の芯から温まっていく。


 焚き火の前で温まりながら話をする。俺達ふたりの前を、色んな人が通り過ぎる。
 家族連れやカップル、ひとり。
 誰もがその目に輝きを潜め、新たな年の始まりを満身に感じているようだった。
 誰もがこれから訪れるであろう未来を、疑うこともなく待っているようだった。

 暫くして神社を後にする。といってどこか宛てがあるわけでなく、延々と話しながら近くをふらふらと歩き回った。
 話すことが殆ど尽きてしまってからも、お互いに未練がましくしがみついていた。

 彼女と手をつなごうかと思ったが、少し考えて思い止まった。


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